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中高層条例でお困りの事はございませんか?
近隣説明・報告書の提出など中高層条例に関する業務代行いたします!
この記事は、京都市の「京都市中高層建築物等の建築等に係る住環境の保全及び形成に関する条例」について、代願事務所の視点で解説をしたものです。
※尚、ここでは中高層建築物・個別説明に絞って解説をしております。
本条例が対象とする「中高層建築物等」とは、周辺の住環境に影響を与える可能性のある以下のいずれかの建築物を指します。ご自身の建築計画が対象となるか、まずはご確認ください。
• 中高層建築物
◦ 第一種・第二種低層住居専用地域:軒の高さが7メートルを超える建築物、または地階を除く階数が3以上の建築物。
◦ 第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域:高さが10メートルを超える建築物、または地階を除く階数が4以上の建築物。
◦ 商業地域、工業地域:高さが17メートルを超える建築物、または高さが10メートルを超える建築物で、商業地域および工業地域を除く用途地域に、冬至日の真太陽時による午前8時から午後4時までの間において平均地盤面から4メートルの高さの水平面(当該建築物の敷地内の部分を除く。)に日影となる部分を生じさせるもの。
• 特定共同住宅
◦ 共同住宅(他の用途と併用するものを含む)で、階数が3以上かつ住戸の数が15以上のもの。
• 特定特殊建築物
◦ 劇場、映画館、百貨店、マーケット、飲食店など、別表第2に掲げる用途に供する部分の床面積の合計が、用途に応じて100平方メートルまたは500平方メートルを超えるもの。
• 大規模建築物
◦ 延べ面積が1,000平方メートルを超える建築物。
これらの建築物の新築、または特定の用途変更を行う「中高層建築物等の建築等」が条例の適用対象となります。ただし、災害対策等の緊急性の高いものや応急仮設建築物、仮設建築物は適用除外とされます。
本条例では、建築計画を近隣関係住民に広く周知させるため、建築主に対し標識の設置を義務付けています。この標識は、近隣説明を開始するための「お知らせ」としての役割を果たす重要なものです。
• 設置時期
◦ 建築確認の申請、許可・認定の申請、または工事着手日のうち最も早い日の27日前までに設置しなければなりません。この期日は厳守が必要です。計画の早い段階でこの「最も早い日」を確認し、逆算して準備を進めましょう。
• 設置期間
◦ 建築確認済証の交付を受ける時、または工事に着手する時まで継続して設置する必要があります。
• 記載内容
◦ 建築計画の概要を記載します。具体的な記載事項は京都市の別途定める規則によるため、事前に確認が必要です。
• 市長への届出
◦ 標識を設置した際には、後述する近隣説明状況の市長への報告を行う日よりも前に、標識を設置した旨と建築計画の概要を市長に届け出る必要があります。
• 変更時の対応
◦ 標識に記載した事項に変更があった場合は、速やかに記載内容を改めるとともに、その旨を市長に届け出なければなりません。変更があればすぐに反映させることが重要です。
• 違反時のリスク
◦ 標識設置命令に違反した場合、10万円以下の罰金に処されることがあります。また、市長は標識設置命令に従わない建築主等を公表することができるとされており、プロジェクトの信用失墜につながる可能性があります。
【近隣説明について】
近隣説明は、本条例における最も重要な義務の一つであり、紛争の予防・解決の鍵を握るプロセスです。
• 説明義務者
◦ 建築主、設計者、工事監理者、または工事施工者(「建築主等」)が説明を行います。
• 説明対象者
◦ 近隣住民: 敷地境界線から水平距離15メートルの範囲内にある土地の所有者、建築物の所有者及び占有者、または建築物の外壁等から水平距離が当該建築物の高さに相当する距離の範囲内にある土地の所有者等が対象です。これらの近隣住民に対しては、建築計画の別に定める事項を説明しなければなりません。道路や水路など、市長が住環境を害するおそれがないと認める土地の所有者等は除かれます。
◦ 周辺住民: 周辺住民からの求めがあった場合には、説明が必要です。周辺住民とは、近隣住民の範囲外で、建築物の高さの2倍に相当する距離の範囲内の土地の所有者等、冬至日の午前9時から午後3時までの間に日影が生じる範囲内の土地の所有者等、またはテレビジョン受信障害が生じるおそれがある区域内の建築物の所有者及び占有者を指します。
◦ ポイント: 「近隣住民」と「周辺住民」の定義は明確に区別されており、特に「近隣住民」への説明は義務です。説明範囲の特定を誤らないよう、十分注意が必要です。
• 説明内容
◦ 建築計画について、別に定める事項を説明する必要があります。日照、通風、プライバシー、交通安全、騒音、テレビジョン受信障害、景観、駐車場など、周辺の住環境に影響を与える可能性のある全ての側面について、具体的な影響予測と対策を網羅的に説明できる準備が求められます。
• 説明会の開催
◦ 近隣関係住民(近隣住民と周辺住民の総称)から説明会の開催を求められた場合、建築主等はこれに応じるよう努めなければなりません。これは努力義務ですが、円滑な合意形成のためには、要請に応じることが望ましいでしょう。
• 変更時の対応
◦ 一度説明した事項に変更があった場合は、速やかにその旨を近隣住民に再度説明する必要があります。情報の透明性を保ち、不信感を与えないことが大切です。
• 住民の協力
◦ 近隣住民は、建築主等からの説明の申し出があった場合、当該申出に応じるよう努めなければなりません。
• 説明しないリスク
◦ 建築主等が建築計画の説明をしない場合、紛争の調停を行う京都市建築紛争調停委員会(以下、委員会)から、工事の着手延期や施工停止などの勧告を受ける可能性がございます。これはプロジェクトにとって非常に大きなリスクとなるため、近隣説明は誠実かつ丁寧に進める必要があります。
【注意点】
近隣説明業務は、法的義務の遵守だけでなく、地域社会との良好な関係を築くための機会でもあります。以下の点に特に注意しましょう。
• 「近隣住民」の正確な特定が最重要
◦ 説明が義務付けられている「近隣住民」の範囲(敷地境界から15m以内、または建築物の高さに相当する距離の範囲内)を正確に特定することが、トラブルを避ける上で最も重要です。対象者リストは慎重に作成し、不明な点があれば京都市の担当部局に必ず確認しましょう。
• 「別に定める事項」への深い理解と丁寧な説明準備
◦ 条例で具体的に明記はされていませんが、日照、通風、プライバシー、交通安全、騒音、テレビジョン受信障害、景観、駐車場など、住環境に影響を与える可能性のある全ての側面について、具体的な影響予測と対策を網羅的に説明できるよう準備しましょう。専門家と連携し、住民からのあらゆる質問に的確に答えられる体制を整えることが大切です。
• 誠実かつ真摯な説明姿勢
◦ 住民からの反発や質問は当然起こり得ます。建築主等は「周辺の住環境に十分に配慮し、安全で快適な住環境の保全及び形成に努めなければならない」という責務を負っています。この責務を意識し、一方的な説明ではなく、住民の意見に耳を傾け、懸念を解消するための真摯な姿勢が求められます。
【まとめ】
京都市の中高層条例に基づく近隣説明業務は、単なる形式的な手続きではなく、複雑な法的要件とデリケートな住民対応が求められる重要なプロセスです。
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